内縁関係にあるパートナーが遺産を受け取るためのルール

近年多様化が進み、婚姻も法律婚に限られず、事実婚(いわゆる「内縁関係」)も増加傾向にあります。

しかし、日本の法律では事実婚の状態ではパートナーは法定相続人とは認められていません。従って、内縁の妻(夫)が自動的に相続権を有するわけではなく、相続に関しては特別な配慮が必要です。

司法書士 山本

今回は内縁関係に焦点を当てて相続について解説しています。

この記事を書いた人 
  • 資格
    司法書士・宅地建物取引士・家族信託専門士・簿記2級・FP
  • 経歴
    静岡県富士市出身。明治大学卒業。大学2年時より司法書士の勉強をはじめ、体育会弓道部の主将を務めながら勉強を積み重ね、平成23年司法書士試験に合格。平成25年富士市にて司法書士事務所を開業
  • 心情
    「法律を知らないで損をする人を少しでも減らしたい」を心情に、様々な法的相談や手続きを誠実・親切・丁寧な対応を心がけている。
司法書士
山本真吾
目次

内縁のパートナーが相続を受けるための基本ルール

ここでは、内縁のパートナーと婚姻届を出している妻との相続における違いやルールを確認していきましょう。

内縁関係と法定相続人の違い

内縁関係とは、法律に基づく婚姻届は出していないが、夫婦として共同生活を行うような事実上の婚姻生活を送っている関係のことを言います。

まず、内縁のパートナーについては、法律上配偶者とは扱われません。
相続人の範囲は民法で下記のように定められています。
配偶者はどのような場合にも常に相続人となります。配偶者に加えて、法律上の相続人になる方は下記のとおりです。

  • 第1順位 死亡した人の子ども
  • 第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
  • 第3順位 死亡した人の兄弟姉妹

上記からわかるように内縁関係のパートナーは相続人ではないため、当然には相続財産を受け取ることはできません。

司法書士 山本

内縁のパートナーが相続財産を受け取るには事前の対策は必須です。

相続発生時の注意点

まず、パートナーが亡くなった後、死亡届を提出する必要があります。
死亡届は通常、親族が提出しますが、内縁のパートナーは親族ではありません。親族がいない場合、家主や大家、同居人が提出します。

同居の方が死亡届でを出すには同居していることが必要となりますので、住民票などで同居していることが証明できるようにしておきましょう。

死亡届を提出できる人
親族,同居者,家主,地主,家屋管理人,土地管理人等,後見人,保佐人,補助人,任意後見人,任意後見受任者(戸籍法第86条,第87条)

内縁の妻が財産承継する方法3選

ここでは、内縁の妻が相続財産を承継する方法を3つご紹介します。

遺言書による遺贈

相続人でないパートナーが相続財産を承継するには、「遺言書」による遺贈しか方法はありません。

「遺贈」とは、一般には相続人以外の人に遺産を譲り渡すことをいいます。(相続人に遺贈することも可)

遺言により相続財産を受け取ることはできますが、亡くなった方に法定相続人(兄弟姉妹以外)がいたときは、遺留分を請求される可能性があることに注意が必要です。

生前贈与を受ける

もう一つの方法として、生前に贈与する方法があります。生前贈与は内縁関係においても問題なく受け取れます。

ただし、110万円を超える財産を贈与する場合、贈与税が課税されます。
法律上の配偶者であれば、一定条件を満たすと贈与税が控除される制度もありますが、内縁関係には適用されませんので、注意が必要です。

贈与税については、税務署か税理士にご確認ください。

特別縁故者として財産を受け取る

亡くなった方に、配偶者、子供、両親、兄弟姉妹などの法定相続人がいなかった場合、一定の条件を満たせば、「特別縁故者」として相続財産を受け取ることができます。

  • 被相続人に相続人(配偶者、子、父、母、兄弟等)がおらず、かつ、遺言書がないこと
  • 被相続人と生計を同じくしていた者であること 
  • 被相続人の療養看護に努めた者であること 
  • 被相続人と特別の縁故のあった者であること

まとめ

今回は、内縁関係のパートナーの相続事情について書かせていただきました。
日本では、まだまだ法律婚が尊重されているため、内縁関係状態では不利益を被ることも多いです。

可能な限り内縁関係においても損をしないように生前中の準備が大切です。
内縁関係の相続手続きは複雑な手続きが伴う上に、注意点も多いため、司法書士などの専門家のサポートを受けることも検討してみてください。

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この記事を書いた司法書士

山本真吾のアバター 山本真吾 司法書士

相続手続きの専門司法書士
平成25年開業当初から相続手続中心の事務所を設立。
現在では、生前中の対策から、相続対策まで依頼者にとって最善の対策・紛争予防をご提案しております。
【保有資格】
司法書士 宅地建物取引士 家族信託専門士 日商簿記2級

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