近年多様化が進み、婚姻も法律婚に限られず、事実婚(いわゆる「内縁関係」)も増加傾向にあります。
しかし、日本の法律では事実婚の状態ではパートナーは法定相続人とは認められていません。従って、内縁の妻(夫)が自動的に相続権を有するわけではなく、相続に関しては特別な配慮が必要です。
今回は内縁関係に焦点を当てて相続について解説しています。
内縁のパートナーが相続を受けるための基本ルール
ここでは、内縁のパートナーと婚姻届を出している妻との相続における違いやルールを確認していきましょう。
内縁関係と法定相続人の違い
内縁関係とは、法律に基づく婚姻届は出していないが、夫婦として共同生活を行うような事実上の婚姻生活を送っている関係のことを言います。
まず、内縁のパートナーについては、法律上配偶者とは扱われません。
相続人の範囲は民法で下記のように定められています。
配偶者はどのような場合にも常に相続人となります。配偶者に加えて、法律上の相続人になる方は下記のとおりです。
- 第1順位 死亡した人の子ども
- 第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
- 第3順位 死亡した人の兄弟姉妹
上記からわかるように内縁関係のパートナーは相続人ではないため、当然には相続財産を受け取ることはできません。
内縁のパートナーが相続財産を受け取るには事前の対策は必須です。
相続発生時の注意点
まず、パートナーが亡くなった後、死亡届を提出する必要があります。
死亡届は通常、親族が提出しますが、内縁のパートナーは親族ではありません。親族がいない場合、家主や大家、同居人が提出します。
同居の方が死亡届でを出すには同居していることが必要となりますので、住民票などで同居していることが証明できるようにしておきましょう。
内縁の妻が財産承継する方法3選
ここでは、内縁の妻が相続財産を承継する方法を3つご紹介します。
遺言書による遺贈
相続人でないパートナーが相続財産を承継するには、「遺言書」による遺贈しか方法はありません。
遺言により相続財産を受け取ることはできますが、亡くなった方に法定相続人(兄弟姉妹以外)がいたときは、遺留分を請求される可能性があることに注意が必要です。
生前贈与を受ける
もう一つの方法として、生前に贈与する方法があります。生前贈与は内縁関係においても問題なく受け取れます。
ただし、110万円を超える財産を贈与する場合、贈与税が課税されます。
法律上の配偶者であれば、一定条件を満たすと贈与税が控除される制度もありますが、内縁関係には適用されませんので、注意が必要です。
特別縁故者として財産を受け取る
亡くなった方に、配偶者、子供、両親、兄弟姉妹などの法定相続人がいなかった場合、一定の条件を満たせば、「特別縁故者」として相続財産を受け取ることができます。
- 被相続人に相続人(配偶者、子、父、母、兄弟等)がおらず、かつ、遺言書がないこと
- 被相続人と生計を同じくしていた者であること
- 被相続人の療養看護に努めた者であること
- 被相続人と特別の縁故のあった者であること
まとめ
今回は、内縁関係のパートナーの相続事情について書かせていただきました。
日本では、まだまだ法律婚が尊重されているため、内縁関係状態では不利益を被ることも多いです。
可能な限り内縁関係においても損をしないように生前中の準備が大切です。
内縁関係の相続手続きは複雑な手続きが伴う上に、注意点も多いため、司法書士などの専門家のサポートを受けることも検討してみてください。
- 専門家の専任担当
-
司法書士が相談から完了まで手続きをサポート致します。
- 相続・遺言・家族信託に特化した事務所
-
当事務所は相続・遺言・家族信託に特化した事務所となっております。豊富な経験でご依頼者様に最適な提案を致します。
- 豊富な相談実績
-
当事務所は開業してから700件を超える相談を受けております。その豊富な経験をから蓄積されたノウハウで高難易度の業務にも対応致します。
- 全国対応
-
オンライン面談やオンライン申請を駆使して、全国どこでも対応致します。
まずはお気軽にご相談下さい。
司法書士事務所LINKがあなたの
お悩みを解決致します。
ご相談の予約はコチラ
山本真吾