放置は危険!富士市・富士宮市の「空き家問題」のリアルと、司法書士が教える解決への第一歩

司法書士 山本

あなたの実家は大丈夫?空き家問題は他人事ではありません

富士市や富士宮市にあるご実家、将来どうなるか考えたことはありますか?
少子高齢化が進む中、誰も住まなくなった実家が「空き家」になるケースは、もはや特別な話ではありません。
しかし、空き家は単に古い家というだけではありません。
放置すれば、深刻な法的・経済的リスクを伴う「負動産」へと姿を変えてしまうのです。

空き家問題の根本的な原因は、建物の老朽化そのものよりも、むしろ「権利関係の不透明性」にあります。この記事では、不動産登記と相続の専門家である司法書士の視点から、空き家問題のリアルな危険性を解説し、手遅れになる前に皆様が踏み出すべき「解決への第一歩」をご提案します。

この記事を書いた人 
  • 資格
    司法書士・宅地建物取引士・家族信託専門士・簿記2級・FP
  • 経歴
    静岡県富士市出身。明治大学卒業。大学2年時より司法書士の勉強をはじめ、体育会弓道部の主将を務めながら勉強を積み重ね、平成23年司法書士試験に合格。平成25年富士市にて司法書士事務所を開業
  • 心情
    「法律を知らないで損をする人を少しでも減らしたい」を心情に、様々な法的相談や手続きを誠実・親切・丁寧な対応を心がけている。
司法書士
山本真吾
目次

第1章:なぜ空き家は「問題」になるのか?放置が招く3つの深刻なリスク

空き家をそのままにしておくことには、具体的にどのような危険が潜んでいるのでしょうか。ここでは、所有者にとって特に深刻な3つのリスクを解説します。

リスク1:権利関係が複雑化し、売るにも貸すにも動かせなくなる

空き家問題における最大の問題は、所有者が亡くなった後、「相続登記」をしないまま放置されることです。
登記簿上の名義が亡くなった方のままだと、その不動産を売却する、賃貸に出す、あるいは解体するといった、あらゆる法的行為が一切できなくなります。

さらに恐ろしいのは、時間が経てば経つほど、相続人の数が増えていく「数次相続」が発生することです。最初は兄弟だけだった相続人が、甥や姪、さらには会ったこともない親戚へとネズミ算式に増えていき、最終的には誰が本当の所有者か分からない「所有者不明土地」の予備軍となってしまいます。
この相続人調査のために、何代にもわたる戸籍を収集・解読する作業は、専門的な知識と膨大な時間を要します。

数次相続とは、遺産の手続きが終わる前に相続人が亡くなり、次の相続が起きてしまうことです。亡くなった人が持っていた「前の遺産をもらう権利」をさらにその家族が引き継ぐため、複数の相続を一度にまとめて処理する必要があり、手続きが複雑になります。

リスク2:複数の相続人で意見がまとまらず、塩漬け状態になる

相続人が複数いる場合、例えば兄弟で不動産を共有名義にすることも少なくありません。
しかし、民法のルールでは、不動産を売却したり解体したりするには「共有者全員の合意」=遺産分割協議が必要です。

兄弟がそれぞれ遠方に住んでいたり、不動産に対する考え方が違ったり、あるいは過去の感情的な対立があったりすると、この合意形成は非常に難航します。
結果として誰も意思決定できず、不動産は「塩漬け」状態となり、管理もされないまま老朽化だけが進んでいきます。
こうして不動産は、法的な出口のない「権利の迷宮」に迷い込んでしまうのです。
最終的な法的手段として「共有物分割請求訴訟」という裁判手続きもありますが、多大な時間と費用がかかる上、親族間の関係を決定的に損なうことにもなりかねません。

リスク3:ある日突然「特定空き家」に認定され、固定資産税が最大6倍になる

「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律に基づき、放置された空き家が倒壊の危険性や衛生上の問題があると市町村に判断された場合、「特定空き家」に認定される可能性があります。

この「特定空き家」に認定され、改善の「勧告」を受けると、土地の固定資産税を大幅に軽減する「住宅用地特例」が解除されてしまいます。
これにより、土地にかかる固定資産税は、これまでの最大で6倍にまで跳ね上がります。これは所有者にとって、最も直接的で深刻な経済的リスクと言えるでしょう。

特定空き家とは、倒壊の危険や衛生上の問題があり、自治体から「放置は悪質」と認定された家屋です。これに指定され勧告を受けると、土地の固定資産税が最大約6倍に急増します。命令に従わないと罰金や、行政による強制解体(費用は所有者請求)の対象となるため、早急な対処が必要です。

第2章:空き家問題、解決の選択肢と現実

では、問題となってしまった空き家をどうすればよいのでしょうか。ここでは、処分や活用に向けた具体的な選択肢と、それぞれのメリット・デメリットを整理します。

最善の策は「早期売却」。しかし、その前に必ずやるべきこと

空き家問題の最も現実的な解決策は、資産価値が残っているうちに売却することです。
しかし、売却するためには、絶対にクリアしなければならない大前提が2つあります。
それは、「相続登記を完了させ、登記簿の名義を現在の所有者に変更していること」と、「共有者がいる場合は、全員の売却への合意があること」です。

これらの法的手続きや関係者間の調整をスムーズに進め、売却への道を整えることこそ、私たち司法書士の重要な役割です。

活用できる?「相続土地国庫帰属制度」の現実と戦略

「どうしても買い手が見つからない土地を国に引き取ってもらいたい」という場合に検討できるのが「相続土地国庫帰属制度」です。この制度は要件が厳しい一方で、うまく活用すれば有効な出口戦略となり得ます。

  • 厳しい要件と費用 この制度は、建物や残置物がない更地が基本です。また、申請時には「審査料」(1筆あたり1万4000円)が必要で、承認されれば国に「負担金」(原則20万円)を納める必要があります。
  • 制度活用の現実的な側面 一見ハードルが高そうですが、実は「申請できれば比較的承認されやすい制度」でもあります。さらに重要なのは、申請が別の解決策のきっかけになるケースが多いことです。実際に、申請が取り下げられた事例の約半数は、審査中に隣接地所有者からの購入の申し出があったり、自治体による公的な活用が決まったりといった、より良い解決に至っています。この場合、負担金を支払う必要はありません。

結論として、この制度は「誰でも簡単に土地を国に返せる」ものではありませんが、申請プロセス自体が事態を動かすきっかけになり得る、戦略的に検討する価値のある選択肢と言えるでしょう。

「相続放棄」は解決策にならない?

「相続放棄」も選択肢の一つですが、大きな注意点があります。それは、「空き家だけを放棄することはできない」という点です。相続放棄をすると、預貯金や有価証券といったプラスの財産もすべて手放すことになります。

また、相続の開始を知った時から3ヶ月以内という期限も定められています。安易に選択すると後悔しかねないため、非常に慎重な判断が求められます。

さらに、安易に相続放棄をすると相続の順位が移動します。その結果、他の相続人に迷惑をかける結果となってしまう場合もありますので、注意が必要です。

第3章:問題が深刻化する前に。司法書士に相談するべき理由

空き家問題の解決には、なぜ司法書士が最初の相談相手として最適なのでしょうか。私たちの具体的な業務内容を交えてご説明します。

私たちは「権利関係」整理の専門家です

司法書士は、空き家問題の根源である「相続登記」や「遺産分割協議」といった、権利関係の整理を行うプロフェッショナルです。

  • 複雑な戸籍収集と相続人調査の代行 数次相続が発生し、相続人が何十人にもなるような複雑なケースでも、戸籍を正確に辿り、法的な相続人を確定させます。
  • 遺産分割協議書の作成支援 相続人全員が納得できる形で話し合いが進むようサポートし、法的に有効な遺産分割協議書を作成します。
  • 相続登記の申請 調査から書類作成、法務局への申請まで、不動産の名義を現状に合わせて正しく整理する手続きをすべて代行します。

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「争族」を防ぐための生前対策(終活)もサポート

司法書士は発生してしまった問題を解決することもできますが、私たちの最も価値ある役割は、そもそも問題が起きないように「予防」することです。
将来、不動産が共有状態となり、お子さんたちが「権利の迷宮」で争うことのないよう、元気なうちに相続計画を設計しておくことが、根本的な解決策となります。

  • 遺言書の作成支援:不動産を誰に引き継がせるか明確に指定し、共有状態になるのを防ぎます。
  • 家族信託の活用:所有権は自分に残したまま、管理や処分を信頼できる家族に託す仕組みです。

ワンストップでの対応

司法書士は、空き家問題解決の「ハブ(拠点)」のような存在です。
もし売却にあたって税金のことが心配なら税理士を、土地の境界で問題があれば土地家屋調査士を、そして売却活動そのものは不動産業者をと、必要に応じて各分野の専門家と連携します。

私たちには富士市・富士宮市の地域に根差したネットワークがあります。登記手続きから実際の売却まで、ご相談者様にとって最適な解決策をワンストップでご提案することが可能です。

結論:空き家問題の解決は、専門家への一本の電話から

最後に、本記事の要点を改めて確認します。

  • 空き家問題は、放置すればするほど権利関係が複雑化し、状況が悪化します。
  • 問題の根本原因は、建物の古さではなく「権利関係の未整理」にあります。
  • そして、すべての解決策の第一歩は、まず「相続登記」を完了させることです。

ご自身やご家族の未来のために、問題を先送りにするのは今日で終わりにしませんか。

富士市・富士宮市の空き家問題でお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所の無料相談をご利用ください。最初の一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。

専門家の専任担当

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この記事を書いた司法書士

山本真吾のアバター 山本真吾 司法書士

相続手続きの専門司法書士
平成25年開業当初から相続手続中心の事務所を設立。
現在では、生前中の対策から、相続対策まで依頼者にとって最善の対策・紛争予防をご提案しております。
【保有資格】
司法書士 宅地建物取引士 家族信託専門士 日商簿記2級

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