【相続放棄した家】費用の負担はどうなる?司法書士が解説

疎遠な親類からよくわからない不動産を相続したと、市役所から通知がきたけど、この先どうしたらいいのかな。

司法書士 山本

相続放棄を検討した方が良いでしょう。ただし、相続関係によっては、相続放棄をしたとしても、固定資産税などの負担をしなければならないこともあります。
また、相続放棄を複数回やらないと完全な相続放棄をしたことにならないケースもあります。

本記事では、司法書士が「相続放棄した家の解体費用」の仕組みや注意点、費用を抑えるための方法についてわかりやすく解説します。相続放棄を検討中でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人 
  • 資格
    司法書士・宅地建物取引士・家族信託専門士・簿記2級・FP
  • 経歴
    静岡県富士市出身。明治大学卒業。大学2年時より司法書士の勉強をはじめ、体育会弓道部の主将を務めながら勉強を積み重ね、平成23年司法書士試験に合格。平成25年富士市にて司法書士事務所を開業
  • 心情
    「法律を知らないで損をする人を少しでも減らしたい」を心情に、様々な法的相談や手続きを誠実・親切・丁寧な対応を心がけている。
司法書士
山本真吾
この記事でわかること
  • 「相続放棄しても安心できないって本当?!安心できない相続放棄の理由をわかりやすく解説」
  • 「相続放棄って難しいの?!相続放棄のポイントを解説」
  • 「相続放棄したのに負担が消えない?!相続放棄しても負担する費用を解説」
目次

相続放棄した家の解体費用は誰が負担するのか?

相続放棄をしたはいいけど、空き家がそのまま放置されて入れ、今後その空き家はどうなるのか気になるという人もいるのではないでしょうか。
ここでは、相続放棄した後の空き家の解体費用は誰が負担するのか解説します。

相続放棄後も費用がを負担しなければならない場合の基本的な仕組み

相続放棄を行うと、被相続人(亡くなった方)の財産・債務の一切を受け取らないことになります。

しかし、相続放棄をしたとしても、放棄する状況によっては、相続財産を管理する責任が生じることがあります。民法940条には、「放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているとき」は、その財産の保存をする責任が占有している相続人に生じます。

例えば、亡くなった方が所有していた不動産に一緒に住んでいたけど、相続放棄をしたようなケースは、相続放棄しても保存義務が発生します。

つまり、最低限財産の状態を維持できるよう管理責任が占有している相続人には生じることとなります。
雨漏りがあれば、修繕義務が生じますし、家屋が劣化しないよう最低限の管理が必要となります。

民法第940条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第952条第1項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

行政代執行による解体費用は負担するの?

家を長期間放置して老朽化が進むと、自治体から「特定空き家」とみなされ、行政代執行が行われる可能性があります。行政代執行では自治体が強制的に解体を実施し、後から所有者に対して解体費用が請求されることもあります。

それでは、相続放棄しても行政代執行による解体費用は負担する必要があるのか。
答えは、「負担する必要はない」です。

相続放棄後、保存義務がある元相続人は、相続放棄すると管理者ではありますが、所有者ではありません。したがって、所有者でない人は、建物を解体することはできません。
そのため、行政代執行が行われたとしても、解体費を負担しない正当な理由が認められます。

費用負担を完全に回避できるのか?

「相続放棄をしたんだから、その家に関する費用は自分には関係ないのでは?」という質問をよくいただきます。しかし、相続放棄後の保存義務がすべてなくなるわけではありません。裁判所による相続財産管理人の選任や、放置物件に関する行政の処分手続きなど、状況によっては解体費用を間接的に負担する可能性もあるのです。

完全に費用負担から逃れられるかどうかはケースバイケースですので、まずは専門家(司法書士や弁護士)に相談し、今後の手続きや費用をどのように捻出・回避できるかを検討することが大切です。

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相続放棄しても負担する必要があるものとは

空き家に関して、相続放棄をしても負担する必要があるものがあります。

それは、固定資産税です。相続放棄をすると固定資産税も支払を免れると勘違いしているか違いますが、実際は相続放棄したとしても、固定資産税を負担しなければならないケースもあります。

固定資産税を負担するケース

その年の1月1日時点で亡くなった方が固定資産課税台帳に所有者として登録されている場合には、たとえ相続放棄をした場合であっても、納税義務者として支払い義務が発生します(地方税法第343条第1項)。

司法書士 山本

ちょっとややこしいですよね。
固定資産税は、1月1日現在の所有者が、翌年の納税義務を負うことを踏まえて、考えてみてください。

令和7年1月3日に亡くなった場合、令和7年の4月3日までに相続放棄を行ったとしても、令和7年度の固定資産税は納付する義務があります。

一方で、相続放棄を12月31日までにされていれば、翌年度の固定資産税は負担する必要がなくなります。

相続放棄は「する」も「しない」も後戻り不可

相続放棄は、自分が相続人になったことを知ってから「3ヶ月以内」に相続放棄を「する」「しない」か判断する必要があります。

この期限を過ぎた場合相続放棄をすることはできなくなります。仮に、借金などがあっても放棄することは難しくなってしまいます。

3ヶ月過ぎても絶対に相続放棄が認められないわけではないので、ご不安な方はご相談ください。

相続放棄をした場合相続放棄を取り消しすることは基本的にできません

そのため、相続放棄を「するか」「しないか」重大な判断となりますので、慎重に決める必要があります。

まとめ:相続放棄した家の解体費用でお悩みなら司法書士へご相談を

相続放棄は専門家でも判断が難しケースも多数あります。相続関係によっては、二重に相続人の地位を有していたり、相続放棄を二度行う必要があったりなど、ミスをすると取り返しがつかないケースもあります
相続放棄を検討される方は、司法書士などの法律専門家へご相談をオススメします。

司法書士の役割とサポート内容

司法書士は、相続放棄の手続きから、その後の不動産登記や名義変更、相続財産清算人の選任など、相続に伴うさまざまな法的手続きをサポートしています。
亡くなった方の借金の調査や相続財産の調査、協力不動産会社へ相続不動産の見積なども承ります。

トラブルを回避するための早期相談の重要性

相続したことを知ってから放置していると、取り返しの付かない事態に発展することもあります。
相続放棄ができなくなり、空き家を相続することになると空き家の管理や解体費用を負担することとなります。万が一、空き家が倒壊して、人命に関わることがあれば多額の損害賠償を負担しなければならないことになるかもしれません。

相続放棄は時間との勝負です。ご相談はお早めにさせることをオススメします。

期限が間近に迫っている場合、ご依頼をお断りすることもありますので、ご了承ください。

お問い合わせ・ご相談は当事務所へ

「相続放棄」でお困りの方、手続きが進まずにお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所へご連絡ください。経験豊富な司法書士が、状況に応じた最適なアドバイスとサポートを提供いたします。

相続放棄のお悩みは、専門家と一緒に早めに解決していきましょう。

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この記事を書いた司法書士

山本真吾のアバター 山本真吾 司法書士

相続手続きの専門司法書士
平成25年開業当初から相続手続中心の事務所を設立。
現在では、生前中の対策から、相続対策まで依頼者にとって最善の対策・紛争予防をご提案しております。
【保有資格】
司法書士 宅地建物取引士 家族信託専門士 日商簿記2級

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