生前贈与を受けても相続放棄はできる?リスクを司法書士が解説

「相続放棄 生前贈与」という言葉に、戸惑いや不安を感じている方は少なくありません。

生前贈与を受けていても相続放棄はできるのかな

司法書士 山本

司法書士として、これまで多くの相続相談に携わってきた経験をもとに、本記事では相続放棄と生前贈与にまつわる複雑な問題点をわかりやすく解説します。

お読みいただくことで、現状の整理や疑問点の明確化につなげ、必要に応じて専門家へ相談するための一歩を踏み出す参考にしていただければ幸いです。

この記事を見てわかること
  • 相続放棄の基本的な手続きや注意すべき期限、ポイント
  • 生前贈与を受けたうえでの相続放棄の可否
  • 遺留分侵害請求や詐害行為のリスクなど、生前贈与と相続放棄が絡む複雑な問題への対処法
  • 専門家(司法書士)への相談を通じてスムーズかつ安心な手続き進行を図る方法
この記事を書いた人 
  • 資格
    司法書士・宅地建物取引士・家族信託専門士・簿記2級・FP
  • 経歴
    静岡県富士市出身。明治大学卒業。大学2年時より司法書士の勉強をはじめ、体育会弓道部の主将を務めながら勉強を積み重ね、平成23年司法書士試験に合格。平成25年富士市にて司法書士事務所を開業
  • 心情
    「法律を知らないで損をする人を少しでも減らしたい」を心情に、様々な法的相談や手続きを誠実・親切・丁寧な対応を心がけている。
司法書士
山本真吾
目次

相続放棄とは?生前贈与を受けても放棄は可能なのか

 「相続放棄 生前贈与」というキーワードで情報収集をしている方は、多くの場合、被相続人(故人)の遺産相続を巡って複雑な問題に直面していることでしょう。
相続放棄は、故人が残したプラスの財産だけでなく、借金や滞納金などのマイナス財産を含めた一切の相続権を手放す制度です。一方で、生前贈与被相続人が生きているうちに、特定の相続人へ財産を前もって渡しておく行為を指します。

 生前贈与がされていても、「果たして相続放棄が可能なのか?」といった疑問が生じるかもしれません。

結論としては、一般的には、生前贈与を受けていても相続放棄を行うことは可能です。
ただし、相続放棄の可否とは別に、遺留分や詐害行為の疑いなど、考慮すべき点が増えるため、慎重な判断と専門的な法的サポートが求められます。

相続放棄の基本手続きと期限

相続放棄は、相続が開始したことを知った日から3か月以内に家庭裁判所で申述しなければなりません。
この相続放棄が認められると、法的には初めから相続人でなかったことになります。
手続きでは、被相続人の戸籍謄本や相続人自身の戸籍関係書類、申述書などを用意します。
期限管理は非常に重要で、手続きが遅れると相続放棄ができなくなるため注意が必要です。

生前贈与を受けた場合の相続放棄が認められる条件

基本的には生前贈与を受けていたからといって、相続放棄に影響を与えることはありません。
そのため、原則として、生前贈与を受けた相続人でも相続放棄は可能です。
ただし、他の相続人との関係や、贈与財産の種類・時期によっては、後から遺留分侵害や詐害行為問題が浮上する可能性があります。
そのため、生前贈与を行う場合、事前に専門家に相談することが必要です。

遺留分や詐害行為とは後述します。

生前贈与が相続放棄に与える法的な影響

生前贈与を受けていた場合、他の相続人から遺留分侵害額請求を受けることがあります。
遺留分について簡単に解説します。

遺留分侵害請求と生前贈与の関係

生前贈与によって、特定の相続人が他の相続人より実質的に多くの財産を先取りしていた場合、後に別の相続人が遺留分侵害額請求を行うことがあります。
遺留分侵害額請求を受けると相続放棄を行っていたとしても、遺留分侵害している金額を支払う必要があります。

遺留分とは、配偶者や子などの特定の相続人に保障された最低限の相続割合です。

司法書士 山本

遺留分の請求を受けた時点で支払義務が発生しますが、相続放棄自体は有効のままです。

借金や詐害行為による影響

亡くなった人に借金などがあったとき、生前贈与を受けていると場合によっては、生前贈与が取り消される可能性があります。
生前贈与が取り消されると贈与はなかったことになり、相続財産として相続人が承継し、債権者は相続財産の中から貸金を回収することになります。

「詐害行為(さがいこうい)」とは、ざっくり言うと「借金などを抱えている人が、自分の持っている財産をわざと他人に譲ったり隠したりして、債権者(お金を貸している側)が取り立てできない状態を作る行為」のことを指します。

借金を抱えた状態での相続放棄

被相続人が多額の債務を残していた場合、相続放棄を行うことで、返済義務を免れることができます。
しかし、生前贈与が絡むと、「借金を免れるために意図的に資産を他へ移したのではないか」という誤解や疑いを招く可能性もあります。

詐害行為取消権が疑われるケースとその影響

生前贈与が、債権者を害する目的で行われたと見なされる場合、詐害行為として取消されるリスクがあります。
詐害行為取消権が行使されると、せっかく受け取った贈与財産を返還する必要があります。

当事者間では、生前中に財産を移しておき、借金だけ放棄すれば済むと思って行っていても、詐害行為に該当すると想定と異なってしまします。

専門家に相談するメリットと流れ

相続放棄などを検討するに当たり、司法書士や弁護士などの法律専門家に相談することをお勧めします。

司法書士事務所へ依頼することで得られる安心感

相続放棄や生前贈与が複雑に絡むケースでは、専門家のサポートが欠かせません。司法書士は、戸籍収集や書類作成など相続手続きに精通しており、必要に応じて弁護士や税理士との連携も可能です。専門家に依頼すれば、期限管理からトラブル防止策まで、一貫してサポートを受けることができます。

相続放棄における注意点などのアドバイス

 相続放棄を行う上で、注意しなければならない点などもあります。

  • 3ヶ月以内の期限がある
  • 相続放棄をすると取り消すことができない
  • 相続関係によっては、再度相続人になり、二度相続放棄する必要がある


 相続は各家庭の事情により複雑になるため、必ず司法書士などの専門家に相談することがオススメです。

疑問や不安を解消する第一歩:お問い合わせのすすめ

相続放棄の申述期限は短く、生前贈与が絡むケースでは、一刻も早い判断が求められることが少なくありません。
後回しにするほどリスクは増大し、家族間トラブルや財産処理の混乱が深刻化する可能性があります。

 司法書士事務所LINKでは、相続放棄や生前贈与問題に幅広く対応しており、初めての方でも丁寧に状況をヒアリングし、適切な手続きへと導きます。
ぜひお気軽にお問い合わせください。専門家のサポートを受けることで、相続に関する不安が軽減され、将来への道筋を安心して歩むことができるでしょう。

生前贈与などで税金上の問題が発生する場合は、税理士を紹介し税金上の問題にも適切に対応致します。

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この記事を書いた司法書士

山本真吾のアバター 山本真吾 司法書士

相続手続きの専門司法書士
平成25年開業当初から相続手続中心の事務所を設立。
現在では、生前中の対策から、相続対策まで依頼者にとって最善の対策・紛争予防をご提案しております。
【保有資格】
司法書士 宅地建物取引士 家族信託専門士 日商簿記2級

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