親から子へ土地を引き継ぐ際には、名義変更が必要です。
名義変更には生前贈与と相続の2つの方法がありますが、それぞれに異なる手続きと注意点があります。
本記事では、親から子への土地名義変更をスムーズに進めるための基本情報、具体的な方法、そして費用と税金について詳しく解説します。
親から子への土地名義変更の基本
こんにちは、先生。親から子へ土地の名義を変更したいのですが、何から始めればいいのでしょうか?
こんにちは。それは大切な手続きですね。土地の名義変更にはいくつかの方法がありますが、まずは基本的なポイントを押さえましょう。
土地名義変更=登記の変更
土地の名義変更とは、いわゆる登記の変更のことを言います。
土地名義の変更(登記)は、所有権を取得したことを確定させるのに重要な手続きとなります。
登記を怠っていると、何百万から何千万円の価値を失う危険もあります。
親から子に名義変更をする方法
親から子へ名義変更するには、土地建物の所有権を親から子へ移転させる必要があります。
所有権を移転させる方法を大きく2つあります。
「(生前)贈与」か「相続」で移転させるのが一般的です。
「(生前)贈与」と「相続」では手続きが全く異なり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
以下にそれぞれについて、詳細に解説します。
生前贈与による土地名義変更
生前贈与とは、単なる贈与のことです。
生前贈与は、基本的に税金が多くかかりますが、あえて贈与するメリットもあるため、詳しく見ていきましょう。
生前贈与として土地を子に渡すメリット
生前贈与を行うことで、親が健在のうちに土地の所有権を確実に子に移すことができます。
生前の間に所有権を確定的に移転しておけば、相続の際にもめて最悪土地の所有権が手に入らないといった万が一を避けることが可能となります。
生前贈与として土地を子に渡すデメリット
生前贈与を行うと相続と比較して、税金が高くなります。
- 贈与税
- 不動産取得税
- 登録免許税
→相続による名義変更でも課税されるが、贈与は相続の5倍高額
そのため、どうしても相続で名義変更ができない理由があるときのみ、生前贈与オススメします。
- 親の生前中に親名義の土地に自宅を建てる予定だが、まだ時期は未定
→親が認知症になると抵当権(担保)がつけられないため、住宅ローンを借りることができず、自宅の建設が不可になるため、親から子へ名義変更をしとくべき - 親と同居しており、親が亡くなった後も自宅に住み続けるが他の兄弟との折り合いが悪い
→相続後に遺産分割協議がうまくまとまる保証はないため、生前中に贈与しておき所有権を取得して、自宅に住み続ける権利を確保する。(遺言による方法も可能なため、贈与か遺言かは要検討)
贈与税回避の手段として相続時精算課税制度の利用
贈与税は土地の評価額により税率が増加していくため、高額になりやすく、生前贈与を検討する上で1番の障害になります。そこで、相続時精算課税制度の利用を検討します。
相続時精算課税制度とは、高齢の親が生前に子供や孫に財産を贈与する際に、贈与税を軽減する制度です。
一人あたり2500万円までの贈与が非課税となりますが、その金額は相続時に精算され、相続税に含まれます。
相続時精算課税を選択すれば、年間110万円の基礎控除に加え、2500万円まで贈与税が課税されません。
従って、地を贈与をする場合には、一般的に相続時精算課税の方が贈与税を低く抑えることができます。
相続による土地名義変更
親から子へ名義変更するもう一つの方法である「相続」について解説します。
相続で親から子に名義変更するメリット
贈与と比較して1番のメリットは、税金が安い点にあります。
相続の際には、相続税が課税されますが、控除額が大きくほとんどの方は相続税を支払うことはありません。
相続税の控除額=3000万円+相続人×600万円
この控除額以内であれば、相続税の申告も不要です。また、相続の場合は、不動産取得税もかかりません。
富士市・富士宮市の場合、土地評価額が50坪くらいでおよそ800万円程度なので、自宅以外に不動産や多額の金融資産を持っていない限り、相続税の心配をすることはないでしょう。
相続の登録免許税について、贈与の5分の1となります。
相続で親から子に名義変更するデメリット
相続による名義変更の場合、原則的遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要がありますが、相続人間で紛争が生じていたり、相続人の中で認知症の人や行方不明者がいると裁判所の手続きを経て、遺産分割協議を行う必要性が生じ、手続きに時間がかかる可能性があります。
そして、遺産分割協議で財産の帰属先を決めるため、必ずしも土地建物が自分の名義にならない可能性もあるため、最悪のケース不動産を売却して、相続人全員で配分するといった事態も生じ得ます。
確実に不動産の所有権を取得したい場合は、生前贈与か遺言書を検討した方がいいでしょう。
土地建物の名義変更の相談先は司法書士?行政書士?
土地建物など不動産の名義変更は、司法書士が相談先となります。
司法書士・弁護士以外の資格では、名義変更(登記)の代理を行う権限がありません。そのため、相続登記を依頼する場合は、司法書士へご相談ください。
また、司法書士は登記以外にも、裁判所へ提出する書類作成も行うことが可能です。
- 相続放棄
- 遺産分割調停
- 自筆証書遺言の検認
Q&A
生前贈与と相続、どちらが名義変更において有利なのか?
有利不利はどの視点から見るかでかわります。ご相談者の方にとって最適な方法は直接ご相談頂ければ幸いです。
贈与する場合、必要書類は具体的に何が求められるのか?
ご用意いただく書類は、贈与者の印鑑証明書、権利証、受贈者の住民票のみです。その他、必要書類につきましては司法書士がすべてご用意いたします。
親から子への土地名義変更を進める際、どんな相談先があるのか?
名義変更の際は司法書士が相談先になりますが、税金については、税理が相談先となります。当事務所では、税理士と連携して名義変更についてのご相談対応しております。
まとめ
今回は、親から子への土地名義変更を進める方法について解説しました。
親から子へ名義変更を行うケースは、「贈与」と「相続」が大半です。
どちらのケースにおいても、税金や名義変更の必要性など様々な点を検討する必要がありますので、専門家へのご相談をオススメします。
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山本真吾