突然ですが、相続放棄についてご存じでしょうか。
相続放棄の件数は年々増加傾向になります。
いつ自分が相続放棄をする立場になるかわかりません。また、既に今現在相続放棄をするかどうか検討しているのかもしれません。
そんな方に向けて、相続放棄について簡単に解説いたします。
今回は相続放棄について解説します。
近年、相続放棄のご相談が増えてきています。相続放棄をするための前提知識なども交えて、ご説明します。
- 相続放棄ができない具体的なケース
- 相続放棄ができない場合の解決策
- 相続放棄を検討する際の注意点
相続放棄とは
相続放棄とは、相続人である地位を放棄することを言います。
簡単に言えば、相続人ではなくなるということです。
相続放棄をすることにより、財産や負債といったものを一切相続できなくなります。
相続問題から離脱したい人や借金があり承継したくないといった人は相続放棄の手続きをとった方がいいでしょう。
相続放棄を検討すべきケース
相続放棄をするかしないか検討した方がいい方のケースは以下のとおりです。
- 被相続人の借金がある
- 相続財産がほとんどなく、借金の有無が不明
- 相続人同士でもめていて、巻き込まれたくない
あくまで一例ですが、上記に該当する方については、相続放棄を検討した方が良いでしょう。
相続放棄には期限がある
相続放棄を行うには、「自己のために相続の開始があつたことを知つた時から3箇月以内に」という期限があります。
そのため、原則的には自分が相続人であり、相続財産があると認識したときから3ヶ月以内に相続放棄を家庭裁判所でしなければ、単純承認となり二度と相続放棄をすることはできなくなります。
相続放棄ができないケース
次に相続放棄ができなくなるケースをご紹介します。
相続放棄は原則的には相続人となった時点では相続放棄可能です。しかし、相続人となった後に余計なことをしてしまったばかりに相続放棄ができなくなるケースもありますので、気をつけてください。
預金を引き出してしまった
相続人の預金を解約又は引き出してしまった場合は、原則的に相続放棄ができなくなります。
預金を引き出す行為を「単純承認」(民法第921条)といいますが、亡くなった方の預金を引き出す行為はいわゆる相続人であることを認めたこととなります。
遺産分割協議書に印鑑を押してしまった
遺産分割協議書に押印をしてしまっても、相続放棄はできなくなります。
これも、前述したとおり「単純承認」に該当することとなるためです。
仮に自分が遺産をなにも貰わない内容の遺産分割協議書に署名押印をしたとしても、遺産分割協議を行うこと自体が相続人としての権利行使となるため、相続人であることを自ら承認(単純承認)しているという扱いになります。
期限を過ぎている場合
相続放棄は冒頭で説明したとおり、「自己のために相続の開始があつたことを知つた時から3箇月以内に」行う必要があります。
この期限を越えた場合も「単純承認」したものとなり、二度と相続放棄することは原則的にできません。
ただし、相続財産がないとおもって放置していたら、後々借金の督促状が届いたなどの場合、その借金があることを知った日をスタートとして3ヶ月を計算することもあります。
相続放棄ができない場合の対処法
相続放棄ができないと思われる方の対処法をお伝えします。
相続放棄を諦めず、一度専門家に相談する。
相続放棄ができるかどうかは、一般の方の判断ではなく、一度専門家にご相談ください。
細かく事情を聞いた上で、意外と相続放棄できるケースもあります。
また、家庭裁判所は原則的に「家庭裁判所は、却下すべきことが明らかな場合以外は、相続放棄の申述を受理すべきである」という運用をしています。(東京高決平成22年8月10日家庭裁判月報63巻4号129頁)
そのため、諦めずに相続放棄を検討してみることをオススメします。
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まとめ:相続放棄は慎重に判断しよう
今回は相続放棄について解説しました。
相続放棄は、今回のまとめとしては、以下の点を覚えてください。
- 相続放棄は3ヶ月以内
- 単純承認はしない
- あきらめない
相続放棄は、人生の中でも重要な意思決定の一つです。
相続放棄ができない場合もあるため、慎重に判断する必要があります。
相続放棄を検討している場合は、早めに司法書士などの法律専門家に相談することをおすすめします。
記事をお読みいただきありがとうございました。
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山本真吾