2024年から相続登記のルールが大きく変わることはご存じでしょうか。
この記事では相続登記のルールが変更され、皆さんにどのような影響がでるのか。その対策と共にお伝えします。
- 相続登記の変更点
- 相続登記義務化の与える影響
- 相続登記を円滑に行うための対策
法改正の背後にある理由と目的
ここでは、法改正の理由や目的などについて簡単に解説をしていきます。
なぜ今、法改正なのか?
なぜ今法改正がされたのか。それには様々な理由がありますが、大きな理由としては、下記の通りです。
相続登記をしていない土地が増加し、公共事業の障害になることなどから円滑な相続により土地所有者を明確にする目的で創設されました。
政府の調査によると相続登記が未登記のまま放置されている土地は九州地方の面積に匹敵するほどだと言われています。
そして、未相続不動産はどんどん増えていたため、国として相続登記を義務化し、未相続不動産の拡大を防ぐために法改正がされました。
相続登記放置によるリスク
相続登記を放置した結果、相続が数代に渡って承継され相続人が多数に及ぶことがあります。
当事務所でも、明治時代からの相続登記がされていない物件の事例を取り扱った際には相続人が50人以上登場したことがあります。戸籍を集めるだけでも相当な労力が必要となり、金額も高額になります。
さらに相続人全員の合意をとるのは事実上不可能に近く、裁判手続きを行うには多額の費用と時間が必要となり損をすることになります。
このように相続登記を放置すると思わぬ損をすることになりますので、相続登記は迅速に手続きを行うことが1番です。
2024年からの重要変更: 義務化の全貌
2024年から変わる相続登記の義務化の内容を見ていきましょう。
義務化の開始日と期限
相続登記は2024年4月1日から義務化されます。そして、不動産の所有権を相続したものは、「自己のために相続の開始があったことを知り」、「不動産の所有権を取得したことを知った日」から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
3年の開始日は、被相続人が亡くなった日ではなく、不動産の所有権を相続したことを知った日になります。
過料の導入: 知っておくべきこと
相続登記が義務化されたため同時に過料の規定が創設されました。
正当な理由なく3年以内に相続登記をせずに義務違反となった場合、10万円以下の過料がそれぞれの相続人に科されます。
正当な理由とは
相続登記ができない正当な理由があれば、過料の対象にはなりません。正当な理由については個別の事情によりますが、法務省通達により下記の例を出しています。
- 相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要する場合ケース
- 遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているため、誰が不動産を相続するのか明らかにならない場合
- 相続登記申請義務を負う者自身に重病等の事情があるケース
- 相続登記申請義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に規定する被害者等であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
- 相続登記申請義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合
法改正前の相続にも一律適用される
相続登記の義務化は既に発生している相続についても適用されます。ただし、期限については法改正(2024年4月1日)から3年間の猶予があります。
つまり、法改正から3年以内に相続登記が行われれば過料は免れます。
義務化に向けた準備: スマートな対策ガイド
相続登記の義務化に向け、相続登記を円滑にスムーズに行うための対策をお伝えします。
事前に対策をしておくことで、相続発生後にスムーズに相続登記を行うことが出来ます。
遺言書の準備とその重要性
遺言書を作成しておくと、財産を貰う方が単独で相続の手続きが可能となります。通常必要となる相続人全員の実印と印鑑証明書が不当となります。
そのため、相続人同士での話し合いを省略してスムーズに相続登記を行うことが出来るので、3年間の期限などを気にする必要がなくなります。
家族信託をしておく
まだ、家族信託という言葉は馴染みがないかもしれませんが、家族信託とは認知症による資産凍結を防ぐため、子どもなどに財産を託して管理してもらう制度です。
家族信託は契約時に本人他界後、財産を誰に承継するか定めておくことが可能です。
相続登記が義務化されたあとでも、遺言書と同様に家族信託でもスムーズに不動産の名義変更が可能となります。
相続登記放置のリスク
相続登記を放置するとどのようなリスクがあるのか。わかりやすく解説します。
相続登記を放置して不動産を売却できない
相続登記がされていない不動産は売却することができません。
亡くなった方名義では誰が所有者が不明のため、必ず存命の相続人に名義変更をする必要があります。
相続登記を放置していた結果、買主が見つかっても相続登記がスムーズに行えないと売却のタイミングを逃すことにもなります。
固定資産税を永遠と負担する
相続登記が放置されていても固定資産税は納付する必要があります。
通常、不動産の名義人が亡くなってその後相続登記がされていないと市役所は相続人を調査して、勝手に固定資産税の請求をしてきます。
相続人である以上、固定資産税の納税義務はありますので、支払いはしなければなりません。不動産を処理しようにも相続登記を行わないと売却はできないので、放置すればするほど相続登記はしにくくにあり、売却も出来ず永遠と固定資産税のみ負担するといったことが起きかねません。
まとめ: あなたにとっての次の一歩
- 相続登記の義務は2024年4月1日から
- 相続により不動産を取得したことを知ってから正当な理由なく3年以内に相続登記を行わないと10万円以下の過料
- 相続登記の義務化はすでに発生している相続にも一律に適用される
- スムーズに相続登記を行うため、遺言書や家族信託を検討する
相続登記は放置しておいてもメリットは一つもありません。後で後悔しないように取れる対策はして損をしないようにしましょう。
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山本真吾