相続登記を放置することの7つのデメリット

相続登記を放置すると様々なデメリットがあります。今回はそんなデメリットをご紹介します。

司法書士

ちなみに相続登記を放置した事によるメリット一つもありません。

  • 相続登記を放置すると10万円以下の過料
  • 不動産の売却ができない
  • 相続人の中に認知症の方などが出てくると相続手続きができなくなる
  • 他の相続人が不動産を勝手に売却するかも
  • 他の相続人の債権者から差押えを受ける期間があります
  • 相続人が多数になり相続手続きに時間と費用がかかります
  • 使っていない相続不動産の固定資産税を永遠と負担する
目次

相続登記を放置すると10万円以下の過料

2024年4月1日から相続登記が義務化されます。
相続登記を行わない場合、10年以下の過料に処せられます。

詳細は『相続登記義務化?!2024年から何が変わる?』をご参照ください。

不動産の売却ができない

不動産の売却をする際に、相続登記を行わないと不動産を売却することができません。

不動産会社に不動産の売却を頼むにしても、相続登記がされていないと誰が現在の所有者か不明のため、話が進まない結果となります。
相続登記は様々な書類の収集や書類の作成、各種相続人の押印などを行う必要があり、すぐに出来るものではありません。それなりの時間がかかりますので、相続した不動産を売却したい場合は、早めに相続登記の手続きに着手しておく必要があります。

相続人の中に認知症の方などが出てくると相続手続きができなくなる

相続登記を行う際、遺言などがない限りは相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
そして、遺産分割協議は相続人全員で行わなければ無効となります。

(遺産の分割の協議又は審判)
第907条 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。

相続人の中で認知症の方がいらっしゃると判断能力が低下し、ケースによっては意思無能力者となります。意思無能力者となった場合、法律行為の一種である遺産分割協議を行っても無効となるため、遺産分割協議ができなくなり、その結果相続登記も出来なくなります。

第3条の2 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする

他の相続人が不動産を勝手に売却するかも

遺産分割協議が成立しない間は、相続財産は各相続人の共有資産となります。そのため、相続登記も各相続人の共有持分を登記するのであれば、相続人の一人で登記をすることが可能です。

他の相続人が共有持分で勝手に相続登記を行い、他の相続人の持分のみ業者に売却することも可能ですので、知らないうちに不動産会社が相続した不動産の持分を取得していることにもなりかねません。

司法書士

自宅の相続登記を放置していた結果、他の兄弟に勝手に自宅の持分を売却され、不動産会社に高額な代金を支払って買い戻すといった事にもなりかねません。

他の相続人の債権者から差押えを受ける期間があります

前述したとおり、相続財産は遺産分割協議前の段階では相続人全員の共有資産となります。相続人の中で借金など多額の負債を抱えている人がいる場合、債権者が相続財産に対して差押えをしてくることが考えられます。

登記は早い者勝ちですので、仮に後で遺産分割協議が成立したとしても先に差押えをされると相続登記はできなくなります。債権者に返済しない限り差押えを外すことはないです。
そのまま放置していると、競売にかけられ不動産を売却されてしまいます。

相続登記は早めに行いましょう。

相続人が多数になり相続手続きに時間と費用がかかります

相続登記を放置していると、相続人が亡くなり、さらに亡くなった相続人の子等が相続人に加わり時間の経過と共に相続人が増えていくことがあります。

相続人が増えた段階で相続登記を行おうとしても、多数の相続人の協議が整わず裁判上の手続きをとらざるを得なくなるケースが大変多くあります。

裁判上の手続きを行うと11.8ヶ月かかるとのことです。また、手続きを弁護士に依頼をすればそれなりの金額がかかります。

司法書士 山本

過去取り扱った事例では大正時代の方の名義のままになっており、相続人が40人以上登場することになったものもありました。
裁判上手続きを行うにも容易ではありませんので、相続登記は早めにした方が良いですね。

使っていない相続不動産の固定資産税を永遠と負担する

相続登記が出来ない限り、不動産を売却等活用すること出来なくなります。
活用できないのに固定資産税は納税しなければなりません。

固定資産税は基本的には相続人全員が支払い義務を負いますが、市役所は個別に分割した固定資産税を請求するなどはせず、勝手に相続人代表者を定めてその方に請求してきます。

そのため、相続人代表者になった方は固定資産税の納付書が送られてくるので、固定資産税を納めなければなりません。

相続登記をそのまま放置していると相続登記を行うことが困難となり、活用できない不動産についてずっと固定資産税を負担することになってしまいます。

まとめ

2024年4月1日から、相続登記が法律により義務化されます。
まず、相続登記を行わないと、最大10万円の過料が課される可能性があります。

さらに、相続登記をしなければ不動産の売却は不可能です。相続登記が完了していないと、不動産の正式な所有者が誰であるかが不明確になるため、取引は進みません。
また、相続人の中に認知症の方がいる場合、遺産分割協議が成立せず、結果として相続登記も行えなくなる可能性があります。このような状況は、法的な手続きを複雑にし、時間も費用もかかることになります。

さらに、相続財産が相続されずに共有資産の状態で放置されると、他の相続人や債権者による不測の事態が発生するリスクがあります。これにより、知らないうちに相続不動産が売却されるかもしれません。
また、不動産に関する固定資産税の負担も続きます。これらのリスクを回避するためにも、相続登記は迅速に行うことが重要です。

相続登記は複雑な手続きを伴うため、専門家の助けを借りることをお勧めします。
相続が発生した場合、司法書士などの専門家に早めに相談してどのように手続きを進めるか確認をすることが重要です。

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この記事を書いた司法書士

山本真吾のアバター 山本真吾 司法書士

相続手続きの専門司法書士
平成25年開業当初から相続手続中心の事務所を設立。
現在では、生前中の対策から、相続対策まで依頼者にとって最善の対策・紛争予防をご提案しております。
【保有資格】
司法書士 宅地建物取引士 家族信託専門士 日商簿記2級

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